乾癬治療にヒト型抗ヒトIL-23p19抗体登場(2018年)

2018年3月23日、乾癬治療薬グセルクマブ(商品名トレムフィア皮下注100mgシリンジ)の製造販売が承認された。適応は「既存治療で効果不十分な尋常性乾癬、関節症性乾癬、膿胞性乾癬、乾癬性紅皮症」、用法用量は「1回100mgを初回、4週後、以降8週間隔で皮下投与」。
乾癬は、青年期から中年期に好発する厚い銀白色の鱗屑を伴った紅斑を臨床的特徴とする慢性再発性炎症疾患。世界の人口の約3%、日本では人口の約0.3%が罹患しているといわれている。乾癬患者の大半が皮膚以外に症状を伴わない尋常性乾癬だ。罹患患者は少ないが乾癬の諸症状の他に、全身の関節に炎症、こわばり、変形などが生じる関節症性乾癬では、関節の変形は不可逆であるため、積極的な治療が不可欠となっている。
乾癬治療では、従来からステロイド外用療法、光線線療法、または内服のシクロスポリン(サンディミュン、ネオーラル他)、エトレチナート(チガソン)などの全身療法が行われており、さらに近年、抗TNFα抗体の皮下注射製剤アダリムマブ(ヒュミラ)および点滴静注製剤インフリキシマブ(レミケード他)、抗IL-12 /23p40抗体の皮下注製剤ウステキヌマブ(ステラーラ)、抗IL-17 A抗体の皮下注製剤セクキヌマブ(コセンティクス)およびイキセキズマブ(トルツ)、抗IL-17受容体A抗体の皮下注製剤ブロダルマブ(ルミセフ)などの生物学的製剤による抗体療法も可能となり、治療選択肢が広がっている。
乾癬は正常の約30倍にもおよぶ表皮細胞の異常増殖亢進を特徴とし、その病態にはT 細胞が重要な役割を担っていると考えられている。その病態にはヘルパーT 細胞17(Th17)が大きく関与していると考えられており、IL-23はTh17の活性化を促すとされている。
グセルクマブは、IL-23のp19サブユニットタンパク質と結合することで、IL-23を介した生物学的作用を抑制するヒト型免疫グロブリンG1λ(IgG1λ)モノクローナル抗体である。承認時までの日本人を含む乾癬患者を対象とした国内外の臨床試験などから本薬の有効性および安全性が確認されている。
国内第3相臨床試験を併合した本薬投与症例の検討で27.1%に副作用(臨床検査値異常を含む)が認められている。主なものは注射部位紅斑(6.3%)、上気道感染(4.2%)だった。重大なものに重篤な感染症、重篤な過敏症が報告されている。

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